2016年2月13日、「お話をつくるお茶の会」が終了しました。
お話をつくるお茶の会とは、百草ふれあいサロンで開催したみんなでお茶飲みながら語り合って想像し、お話をつくるワークショップのことです。想像することはどんなありえないことも、どんな面白くて奇想天外なことでも起こりうる無限の世界です。そんな想像をみんなでむくむくと膨らませて、いろんなストーリーがこのワークショップで生まれることになりました。
まず自己紹介から始まったこのワークショップ。ただの自己紹介ではありません。自分の今日呼んでほしい名前とそして好きな昔話や童話を一緒に教えてもらいました。『笠地蔵』や『あしながおじさん』などみんな重なることなく、今も残る様々なお話が出揃いました。
そして、影絵(黒い紙の様々な形の切り抜き)をつかってお話リレーが始まります。まず1人1枚影絵を選び、その影絵をものや人、建物など、自由に形から想像し、1文のストーリーをつくり、それらをリレーのようにつなげていきます。すると、クジラから始まった海の話がだんだんと陸の話になる話もあれば、突然人が変身したり潜水艦が出てきたりとめまぐるしい展開を迎える話も出ました。影絵1つとっても、見え方は人によって様々で、そうくるのか!そしたら次は…とつながれる話はその場だからこそ生まれるものでした。
今回のメインとなるのは、グループごとに引き当てた名画作品2枚と、先ほど用いた影絵を組み合わせてお話をつくることです。名画を背景に使うなどして、シーンを想像してもらいます。一つ目のグループは、畑で何かをまいている人の絵と、自然の中で会話する少女と大人の絵を選択。描かれた人物の関係性を考えながら、どういう場面かを想定したお話をつくりました。そのほか、戦争中の光景にも見えるというお話にもなり、2通りのお話を生み出していました。2つ目のグループは、夜の街の風景画と、明るい雪の日の路地の風景画を選択し、絵の中の人々の身なりから裕福な街なのではないか、少しだけ覗いているのはこの話の展開では教会の屋根になる、など観察したものから想像を広げて、夜の街で猫を介して話すようになった男女の恋物語がロマンチックに出来上がりました。
先のストーリーが全く読めないおもしろさや、次の展開をみんなで顔を合わせて生み出していく時間は、みんなでお茶を楽しむ延長で、楽しいストーリーをつくっているという雰囲気があったように思います。想像してみること、それを誰かと何かをわかち合うこと、そうした積み重ねが人の心の豊かさやあたたかさにつながるのではないでしょうか。今回のワークショップで生まれたお話が、誰かのもとへ伝えられたり、新たな想像や会話につながったり、ふと思い出してもらえたら幸いです。
そして実は、今回の背景・影絵はゴッホやミレーなど有名な画家の作品を使わせていただきました。美術館で作品を見るときとは違った見方が生まれたのではないでしょうか。その作品を目にする機会があったとき、そういえばあんな話をつくったなあと思い出す日があるかもしれません。
〔運営 NPO法人Collable〕
本ワークショップは、JST-RISTEX「持続可能な多世代共創社会のデザイン」研究開発領域 平成27年度採択プロジェクト企画調査「多世代で共に創る学習プログラム開発の検」(研究代表者:森 玲奈 帝京大学高等教育開発センター 講師)の一環として開催しました。