笑うロボットが百草団地にやってきました。このロボットは現在千葉大学が開発中で、参加者が面白い話題で盛り上がっている時に笑い声をあげます。ロボットの笑いにつられた住民たちで、会場は大きな笑い声に包まれました。
笑いは、ストレスを軽減し、記憶機能に良い効果があります。脳の機能が低下する認知症において、その初期症状として表れるのが記憶力の低下です。今日起こったことや、先週経験したことを思い出すことが難しく感じたら認知症の危険信号かもしれません。
今回の百草すこやかカフェでは千葉大学の大武美保子さん、司会に修士二年の永井大幹さんをお招きし、認知症予防を目的としたトレーニング「共想法」を行いました。
頭の新陳代謝を習慣化
「予防できるものは、予防しましょう」とサロンのみなさんに声をかけた大武先生が、認知症対策として強調したのが、頭の中の新陳代謝です。頭の中の新陳代謝とは、常に新しい情報を入れて、処理し、出していくことです。このインプットとアウトプットを習慣付けるために、共想法は有効な手段です。
共想法では、参加者は毎回決められたテーマに沿って一枚の写真を持ち寄り、1分で説明します。次に質疑応答を2分間行います。今回は「断捨離」というテーマで15名の参加者が写真を持ち寄りました。30代の頃に使ったバトミントンのラケット、父からもらった日本人形、息子が着ていた幼稚園の制服など集まり、当時の思い出が語られました。
栄光のゴルフクラブ
この企画で参加者の男性は、9年前に使っていたゴルフグラブの断捨離を決めました。かつて170m先のカップにホールインワンした記念のグラブであるため、周囲の人はとって置くことを薦めましたが、男性の意思は変わりませんでした。今はもう別のグラブを使っているからと理由を話し、それにホールインワンするとお金がかかっちゃうとジョークを付け加えると、ロボットも「わはは」と笑い、2分が終了。
普段は自由に話す百草ふれあいサロンの皆さんも、いざ時間を決めて話すとなると、いつもと違う脳の回路を使ったのではないでしょうか。参加した女性は、この企画なら私たちだけでもできそう、と共想法を続けることに前向きでした。
〔帝京大学文学部日本文化学科4年生 山田淳史〕
本ワークショップは、JST-RISTEX「持続可能な多世代共創社会のデザイン」研究開発領域 平成27年度採択プロジェクト企画調査「多世代で共に創る学習プログラム開発の検討」(研究代表者:森 玲奈 帝京大学高等教育開発センター 講師)の一環として開催しました。