ラーニングフルエイジング プロジェクト - 高齢化社会に向けた学びの可能性

リファレンス

【文献紹介】⑱「回想法:高齢者の心理療法」

【文献紹介】⑱ 黒川由紀子(2005)「回想法:高齢者の心理療法」誠信書房

 回想法とは、1963年にアメリカの精神科医であるロバート・バトラーが開発した、高齢者を対象とした心理療法で、「カウンセラーが良き聞きとなり、高齢者が自らの人生を紡ぎ直し、その意味や価値を模索してゆくことを援助する方法」です。本書では、回想法研究の歴史が整理されている他、回想法の心理学的な効果の検証、痴呆性疾患を抱える高齢者への回想法の適用事例などが検討されています。

 現在、回想法や、回想法に類似した手法は、心理カウンセリングの現場のみならず、介護現場や地域での活動等、様々な場で実施されており、その目的も多様化しながら広がっています。そうした現状の中で、「心理療法としての回想法」という視点から検証を試みている本書は、回想法の原点に立ちかえり、その特徴や有効性について再考するために有効なものと言えます。


<目次>

高齢者に対する心理療法

回想法とは

回想法研究の歴史と効果評価

痴呆性疾患の高齢者に対する回想法の有効性―回想法グループの事例を通して

回想法の進め方

回想法の実際(うつ病の高齢者;痴呆症;痴呆症などを有する男性グループ;重度痴呆症患者のグループ;長期療養型病院に入院中の90代の女性)

〔文責:園部友里恵〕