【文献紹介】⑳ 嶺学編著(2008)「高齢者の住まいとケア:自立した生活、その支援と住環境」御茶の水書房
本書では、高齢者の住まいとケアをテーマとして、関連する制度・政策動向について、経済社会全体の動向を踏まえながら整理し、自宅、および自宅と施設との中間に位置するとされるケアハウス、有料老人ホーム、グループホーム、コレクティブハウジングやグループリビングなどの共生住宅について、それぞれの現状と課題を論じています。高齢者は、可能な限り自宅で住み続けたいと望んでいる場合が多いとされています。本書では、この期待を実現することが高齢者の住まいとケアの最も重要な課題であると捉えており、多様な住まいのあり方が報告されています。
「自立」と「支援」のあり方、自分にとって幸せに生活できる住まい方とは何かを考えていくことは、超高齢社会を生きる私たちの大きな課題であり、本書はこの課題の解決に貢献し得る重要な指摘がなされています。
<目次>
第1章 高齢者の住まいとケア:全社会的福祉のなかの介護福祉と居住福祉(嶺学)
第2章 「安心ハウス構想」とその後の展開(坂田英督)
第3章 東京都における高齢者の住まいとケアに関する施策(嶺学)
第4章 高齢期を安心して住まう:自宅と在宅(前川佳史)
第5章 高齢期に適した住宅の条件をめぐって(高本明生)
第6章 ケアハウスの現状と課題(池田敏史子)
第7章 有料老人ホーム:経過、現状、課題(五十嵐さち子)
第8章 高齢者グループホームにおけるケアのあり方をめぐって:住まい方、ケアの在り方の優れたところ(吉田正浩)
第9章 認知症高齢者グループホームの展開と課題(嶺学)
第10章 高齢者に対応する共生住宅、その現実と課題(岡本健次郎)
第11章 共に住む家のあるやさしくやわらかい街(﨑野早苗)
第12章 終りに:自立した生活、その支援と住環境
〔文責:園部友里恵〕